AIR #12 そら -air-

今年の冬、そして春。
そこに確かに夏はありました。

何か語りたいけど言葉が見つかりません。

とにもかくにも個人的には今年度最高傑作の評価です。

原作モノはどちらかというと倦厭する傾向のある自分ですが、昨年度のプラネテス鋼の錬金術師で評価をかなり改めていました。
しかし、AIRはそれとは別ベクトルのアプローチを我々に見せてくれました。

プラネテスは、原作を一度噛み砕いて、そのテイストをアニメスタッフによって再構築したもの。
鋼の錬金術師は、原作をベースにそのテイストを損なわず、別の表現手法で確立したもの。
AIRは、原作の材料とレシピをしっかり踏まえた上で、別のキッチンで作り上げたもの。

そう感じます。
何も特別な事はしていません。
ある意味、絵も音楽も脚本も原作のままです。

ただ、絵で言うならば、

原作の雰囲気を生かしつつ、アニメならではの表現を……

こうのたまうアニメのキャラデザイナーを糞と思ったり、

音楽で言うならば、

原作のイメージをそこなわないよう、新たなアレンジとサウンドを……

と言いながら、自分の音楽表現をする作曲家をハァ?と思ったり、

脚本で言うならば、

私が解釈した○○(作品名)をお見せします

と改悪した脚本家や監督を蹴り飛ばしたくなったり、

そういう経験がある私にとっては、

ただ、丁寧に原作をしっかりと理解した上で、丁寧に丁寧に作り上げてくれたこの作品は素晴らしかったです。

また、おそらくは思い入れのあるであろう声優さん、特に川上とも子久川綾には感謝したい。
観鈴と晴子というキャラクターに最後の息吹を吹き込んでくれた彼女たちがいなければ、ここまでにはならなかったと思うから。

元々AIRという作品は解釈が分かれる作品。
また、いたる絵も好みが分かれると思う。

だから、AIRをプレイ済みで、好きだった、感動した人間には、素直に感動できたし賞賛できたアニメだと思う。
もしAIRをプレイし、感動した経験がある方なら、このアニメは是非に見て欲しい。
もしAIRを未プレイで、このアニメを見て、いいな、って思った方は是非ゲームをやって欲しい。

このアニメは、AIRの世界観を受け入れられる人にしか受け入れられない作品だと思う。
だから、AIRをプレイして「つまらない」と思った人は、アニメを観ても面白くないだろうし、アニメを見て「つまらない」と思った人は、ゲームをプレイしてもやはりつまらないままだと思う。

最後はどうか幸せな記憶を……